木造住宅が長期にわたり機能し続け、次世代に継承されるためには、次の3つ
 のポイントが重要です。
  

 イ.地域の気候風土や住文化と調和し、世代を超えて継承・持続されるような工法、
   材料、間取り、デザイン等であること

 ロ.長寿命木造住宅を地域内で持続的につくっていくための仕組みが構築されるこ
   と(地域材の活用、住宅生産者のネットワーク、消費者への普及啓発、技能者の
   育成など)

 ハ.長期にわたり住宅が機能し続けるための基本的な居住面積や居住性能が確保
    された優良な社会資本であること
 

◆長持ちする木造住宅づくりチェックリスト◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-@
気候風土に対応した住宅の配置 良好な住環境を維持するために、各住戸の日照・通風・雪処理等に配慮した住宅配置が行われていますか?

イ-@
気候風土に対応した住宅 住宅の主要な部屋には十分な日照・通風が確保されていますか?
イ-@
積雪寒冷地では冬の雪や風向きに対する配慮、温暖地域では日射しの制御や台風への配慮等、地域の気候風土に応じた対応が行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-A
地域で培われてきた間取りや工法の活用 地域で培われてきた伝統的な間取りや工法の良さを現代の住宅に積極的に活用していますか?

 
項 目
配 慮 項 目
重要度
イ-B
地域材の活用 地域で育った木材を積極的に活用していますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-C
伝統的な町並みや集落景観と調和した外観 伝統的な町並みや集落景観が残る地域では、それらと調和した外観となっていますか?
イ-C
都市部等における町並みに調和した外観 都市部や郊外住宅においては、町並みに配慮した落ち着いた外観、飽きのこない外観となっていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-@
ゆとりある居住面積の確保 入居世帯の構成・生活様式が変わった場合にも、大規模な改修等を伴うことなく対応できるような、ゆとりある居住面積があらかじめ確保されていますか?
ハ-@
汎用性の高い間取り 入居世帯が変わった場合にも、対応できるような、汎用性の高い間取りとしていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-A
安全で快適に住み続けられる居住性能の確保 十分な耐力壁のバランスよい配置、2階床や屋根面の水平剛性の確保、接合金物適切な使用など、建物の構造の安全性能は確保されていますか?
ハ-A
火災警報機等の設置や延焼のおそれのある部分の耐火性能の確保など、火災時の安全性は確保されていますか?
ハ-A
適切な断熱や日射遮蔽を行い、省エネルギーに配慮していますか?
ハ-A
居室の内装材にホルムアルデヒド等の科学物質放散量の少ない材料を使用していますか?また適切な換気措置が行われていますか?
木材の防腐・防蟻剤や畳の防虫剤等について、健康に対する配慮がされていますか?
ハ-A
都市部など住宅が密集している地域では、開口部の遮音性能や周辺からのプライバシーに配慮されていますか?
ハ-A
共同住宅の場合、界壁・界床の遮音性能に配慮されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-B
木材の品質の確保 十分に乾燥した木材を使用していますか?
ハ-B
木材の必要強度は確保されていますか?
ハ-B
耐力上欠点のない木材が使用されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-C
高齢者等への配慮 高齢者等の移動のしやすさ(部屋の配置、日常動線上の段差の解消、階段の安全性、手すり設置)に配慮していますか?
ハ-C
高齢者等の介助のしやすさ(通路・出入口の幅員、寝室・便所・浴室の介助スペース)に配慮していますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-D
ゆとりある設備計画 世帯構成や生活様式の変化に対応できるようなゆとりある電気容量が確保されていますか?
住宅のマルチメディア化等、将来の伝送媒体に変更等に対応できるよう、新築時に先行配管が行われていますか?
 
 
◆長寿命木造住宅を地域内で持続的に生産していくための仕組みづくり◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-C
伝統的な町並みや集落景観と調和した外観 伝統的な町並みや集落景観が残る地域では、町並みを維持していくための活動やルールづくりが行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-@
地域工務店等による地域型木造住宅づくり 工務店や設計者等の住宅のつくり手による、地域の気候風土や生活・住文化に根ざした住まいづくり運動が行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-A
地域材活用マスタープラン、活用拠点の整備 総合的な地域材活用マスタープランの策定や、地域材を活用する拠点施設の整備等、地域の木材を活用するための取り組みを行っていますか?
ロ-A
林業者、製材業者、工務店、設計者等の産直ネットワーク 林業者、製材業者等の木材生産者側と工務店、設計者等の住宅生産者側がネットワークを組み、良質の木材を安定的に供給、活用する取り組みが行われていますか?
ロ-A
地域材の品質確保、地域材を活用した商品開発 地域材を工務店や設計者が安心して使えるよう、木材の品質確保の取り組みが行われていますか?
ロ-A
地域材を安定して活用していくために、地域材やその間伐材を活用した商品を開発し、販売していく取り組みが行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-B
地域型長寿命木造住宅を支える技能者の育成 技能者育成機関の設置、モデル的な木造公営住宅の地元工務店への発注、技能コンクール等の開催など、地域住宅を支える技能者の育成のための取り組みが行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-C
住まい手に対する地域型木造住宅の情報提供 地域型長寿命木造住宅の必要性やその魅力を住まい手に伝え、普及していくための取り組みが行われていますか?
  


外壁に通気層を設けた構造
  木造住宅の長寿命化には、木材の普及対策やシロアリ対策など、物理的に長持ちする配慮が行われていることが必要です。
  具体的には、住宅性能表示制度で求められている劣化軽減対策(外壁の軸組や土台の防腐防蟻、床下、小屋裏の換気など)のほか、木造住宅の耐久性を高めるために昔から伝統的に行われている工夫、壁体内や金物の結露の防止等の配慮があります。
 
◆長持ちする木造住宅づくりチェックリスト◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-@
劣化軽減対策 外壁の軸組、土台の防腐防蟻は十分ですか?
イ-@
地盤の防蟻は十分ですか?
イ-@
基礎の高さは十分ですか?
イ-@
床下の防湿・換気、小屋裏の換気は十分ですか?
イ-@
浴室・脱衣室の防水は十分ですか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-A
耐久性を高める伝統的な工夫 雨水をできるだけ建物にあてない工夫・雨水をできるだけ速やかに流し去る工夫、雨水の進入経路等を絶つ工夫、雨にさらされる部分での保護材や部材自体が取り替えられるような工夫が行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-B
壁体内結露対策 透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、断熱層の室内側に、防湿材を施工していますか?
イ-B
屋根又は外壁を断熱構造とする場合は、断熱層の外気側に通気層を設置するなど、躯体層の湿気を防ぐための措置が行われていますか?
透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、断熱層と通気層との間に防風材(透湿防水シート等)を施工していますか?
イ-B
寒冷地では、胴差などの住宅の中間階における床を構成する横架材の断熱補強を行っていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-C
金物の結露対策 結露をおこすおそれがる金物に、断熱補強を行っていますか?

  住宅の維持保全が困難であることや維持保全経費の増大が、住宅の寿命を短くする大きな要因となります。これを防ぎ、総合的なライフサイクルコスト(LCC)を低減するためには、次の5つのポイントが重要です。

イ.耐用年数の長い部材・部品を傷めずに、耐用年数の短
  い部品を交換できるよう、耐用年数の異なる部品同士を
  明確に分離した取り付け方法とすること

ロ.将来、ある部材・部品を交換するときに同じものが手に
  入らないことのないよう、入手しやすい一般流通部材や
  地域で手に入りやすい地域材を活用すること

ハ.部材・部品を円滑に交換できるよう、モデュラーコーディ
  ネーションを活用すること

ニ.部材・部品の耐用年数に応じた適切な修繕 ・保守点検
  計画をあらかじめ立てておくこと

ホ.維持管理・補修などに必要な情報として、設計図書や
  補修の履歴を保存すること

躯体と設備の分離
◆長持ちする木造住宅づくりチェックリスト◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-@
耐用年数の異なる部材・部品の勝ち負けの明確化 躯体・外装・内装・設備ごとに部材・部品の耐用年数(交換周期)を把握していますか?
イ-@
耐用年数の長い部材・部品に影響を与えずに耐用年数の短い部材・部品を更新できる納まりとなっていますか?(設備、内装と躯体の分離等)
イ-@
浴室ユニットの交換ルートは設定されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-A
設備配管と躯体の分離 立管用の配管スペースは確保されていますか?
イ-A
立上がり配管のためのライニングは確保されていますか?
イ-A
ピットやさや管により、コンクリートに影響を与えず配管の交換ができますか?
イ-A
設備の供給処理系統が明確になっていますか?
イ-A
さや管ヘッダー方式等の配管の交換が容易な形式が採用されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-B
排水管の清掃、配管の点検のための措置 排水管の清掃のための措置は行われていますか?
イ-B
配管の点検が容易に行えるようになっていますか?(露出又は点検できる開口)

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-@
一般流通部材や地域材の活用 将来、ある部品を交換するときに同じ部品が手に入らないことのないように、入手しやすい一般流通部材や地域で手に入りやすい地域材が活用されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ハ-@
モデュラーコーディネーション 規格化部品活用の観点からの適切なモデュラーコーディネーションが行われていますか?
ハ-@
高齢者対応等の観点から適切なモデュラーコーディネーションが行われていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ニ-@
部品・部材の耐用年数に応じた修繕・保守点検計画 部品・部材の耐用年数サイクルに応じた修繕・保守点検計画が立てられていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ホ-@
維持管理・補修等に必要な情報の保存 竣工事の設計図書や補修等の履歴など、維持管理・補修等に必要な情報が保存されていますか?
 
 
  入居世帯の構成等が変わった場合に、大規模な改修を伴わずに間取り等を変化させるには、次のポイントに配慮します。

 イ.可変性の高い平面・断面・構造とすること

 ロ.移設が容易な間仕切りや収納ユニットを活用すること
◆長持ちする木造住宅づくりチェックリスト◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-@
フリースペースを活かした柔軟な平面計画 子供の成長や家族構成の変化、生活様式の変化に対応できる可変性の高い平面計画となっていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-A
立体的な可変性の確保 小屋裏や床下を利用したり、1階又は2階の階高を高くするなど、立体的空間利用が図られていますか?
イ-A
吹抜け部分を部屋に増築する予定がある場合は、あらかじめ床梁が架けられるように、措置が講じられていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-B
将来の床荷重の増大への対応 将来的な積載荷重の増大があらかじめ想定されている場合には、構造計算やスパン表を用いて、当該部分、当該住宅の床構造を積載荷重の増大を見込んだ横架材材種、断面寸法、間隔が採用されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-@
移設が容易な天井・床勝ち間仕切り 可変ゾーン内の間仕切り壁は天井・床勝ちとなっていますか?構造躯体や配管が移設の際の障害となっていませんか?
移設する間仕切りが耐力壁、準耐力壁等となっていませんか?
移設予定先に予め補強用下地が配されていますか?
可変ゾーン内の天井高さが統一されていますか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-A
共同住宅での住戸界壁の移動による間取りの変更 長屋建ての住宅での住戸界壁の移動による間取りの変更を想定した平面、構造計画となっていますか?
   

 イ.住まい手の愛着を喚起させたり、住まい手による適切な維持管理を誘導するな
   ど、住まい手の意識が啓発されること

 ロ.廃棄物の削減や資源の有効活動など、環境問題に配慮されていること
◆長持ちする木造住宅づくりチェックリスト◆
 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-@
住まいの手の参加による愛着の喚起 住まい手が設計や施工に参加するなど、住まいに対する愛着を喚起しましたか?

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
イ-A
住まいの手による適切な維持管理の誘導 維持管理や生活の仕方について、住まい手への適切な情報提供が行われていますか?(日常の清掃・点検や生活上の留意点)

 
項 目
配 慮 事 項
重要度
ロ-@
間伐材や古材の活用による資源の有効活用 間伐材や古材の活用など、資源の有効利用に配慮されていますか?